ゴジラ映画全22作
11. コジラ対へドラ
GODZILLA VS HEADORAH
(GODZILLA VS THE SMOG MONSTER)
1971年7月24日封切 上映時間1時間25分
カラー・シネマスコープ
動員/174万人 ※東宝チャンピオンまつり
<スタッフ>
製作/田中友幸 監督/坂野義光 脚本/馬淵薫、坂野義光 撮影/梨野田陽一 実術/井上泰幸 録音/藤好昌生 照明/原文良 書楽/真鍋理一郎
[特殊技術]特殊技術/中野昭慶 操演/小川昭二 光学撮影/徳政義行 合成/土井三郎 監督助手/津島平吉 編集/黒岩義民
<出演者>
矢野徹/山内明 矢野敏江/木村俊恵 矢野研/川瀬裕之 毛内行夫/柴本俊夫 富士宮ミキ/麻里圭子 伍平爺さん/吉田義夫 自衛隊幹部将校/鈴木治夫 自衛隊技術将校/勝部義夫 巡査/大前亘 学者/岡部正
●公害怪獣の恐怖
 1970年、"特撮の神様″といわれた円谷英二が永眠した。ときを同じくして、東宝特殊技術課も廃止。日本特撮映画の灯は完全に消えたかに思われた。
 しかし、″東宝チャンピオンまつり”と、テレビの『帰ってきたウルトラマン』が、より低年齢層のファン層を開拓。1971年には第2次怪獣ブームが勃発する。
 新しいファン層を得たゴジラは、ミニラを介さずとも子供に直接親しめる、正義のヒーローに変貌した。それに対するのは、公害の怪獣ヘドラである。
 あらゆる害苺を吸収し、放出するヘドラは、核実験によって誕生した1954年のゴジラの再来ともいえる存在である。正義の味方となったゴジラが、自分の過去を退治するという構造は、ある意味で、皮肉的ですらあった。
 また、この作品は、アングラバーやゴーゴー喫茶、サイケなど、1970年代の特色を前面に押し出しており、ゴジラシリーズの中でも奇妙な雰囲気を持った1作にしあがっている。